ご無事に手術が終わり良かったです。おそらく当院の子宮卵管造影で
は左卵管周囲の癒着を疑った方だと思いますが、右卵巣の癒着は意外で
した。
ご質問の件ですが、下記に記載します。
(1)排卵時は卵胞に穴が開き、そこから卵胞液と卵子(径0.1mm程度)が
卵丘に包まれて腹腔内に排出されます。卵丘のサイズは約3mm前後なの
で肉眼でも見えます。
(2)卵丘はダグラス窩に卵胞駅と共に貯留します。
(3)排卵後は卵管の繊毛が子宮に向かって動き、ダグラス窩の内容液
を卵管内(卵管膨大部)に吸引します。その時に卵管采がうまく働く事が
重要です。もちろん排卵された100%の卵全てが卵管膨大部に吸引される
わけではありませんが。
(4)ダグラス窩の左右にあるのが仙骨子宮靭帯です。両側の仙骨子宮
靭帯が癒着しダグラス窩が閉鎖していると、排卵された卵丘が留まる所
がなく、卵管の吸引がうまくいきません。
(5)仙骨子宮靭帯の癒着の程度によりますが、その程度の癒着ではダ
グラス窩の閉鎖はないと判断されたため、癒着剥離を行わなかった可能
性が高いと推察します。
(6)また、無理をして仙骨子宮靭帯の癒着剥離を行えば(その直下は
直腸ですので)手術による直腸穿孔(回復術で修復します)のリスクを
避けたかったのかも知れません。
(7)後日に手術の写真が送られてきますので、確認してみたいと思い
ます。
(8)腹腔鏡手術後1年間以内の妊娠率は約50%前後と報告されてい
ます。
以上で回答になったでしょうか?
|