| | 基礎体温の測定について。
1)以前勤務(勉強させていただいた)していた大学の産婦人科の不妊外
来では、全員に基礎体温の記録が義務化されていました。その頃は「基
礎体温」で排卵日の予測や黄体機能不全の診断を行っていましたし、基
礎体温表に医師が記入した検査結果をみるだけで、カルテをめくらなく
ても状況がわかるようになっていたからです。
2)その当時の基礎体温は5分間の婦人用水銀体温計でした。水銀の使用
が禁止されましたので今はありません。水銀婦人体温計の特徴は、十分
な睡眠時間(4〜6時間以上)であれば正確な基礎体温が測定可能とのこと
でした。また、体温計の目盛りも通常とは違って0.05〜0,025度単位で測
定していたように思います。
3)現在の電子体温計(婦人体温計)は「1分計」です。1分間体温を測定
すると5分後の予測値を表示します。そのため、睡眠の状態(布団の暖か
さや部屋の温度)の影響をより受けやすいくなって、正確な基礎体温が測
れていない可能性があります。通常の体温計だともっと不正確になりま
す。
4)当院では、基礎体温の測定は積極的には勧めてはいません。測定し
ている方は3人に一人ぐらいでしょうか。
5)理由ですが、排卵日は超音波検査による卵胞の大きさで確認し、黄
体機能は
排卵後7日目の黄体ホルモンと卵胞ホルモンの値を採血して調べるからで
す。また排卵日は、基礎体温からは判断できず、多くの方は排卵が終わ
った後に体温が上がり、その前日が排卵日であることが多いようです。
妊娠の可能性は排卵日の当日〜2・3日以内が高く、排卵が終わるとほと
んど妊娠しないためです。よって基礎体温からは排卵日は決められず、
かろうじて「排卵が終わったかどうか」と「黄体機能に以上がないか」
、「高温期が長く続くと妊娠」がわかるくらいだろうと思っています。
基礎体温に関しては、当院では「記録してもよし」「記録しなくても
よし」としています。この回答でよろしいでしょうか。
|